知名

他のひとがやってきて

この小包の紐 どうしたら

ほどけるかしらと言う

他のひとがやってきては

こんがらがった糸の束

なんとかしてよ と言う

......

ある日 卒然と悟らされる

もしかしたら たぶんそう

沢山のやさしい手が添えられたのだ

一人で処理してきたと思っている

わたくしの幾つかの結節点にも

今日までそれと気づかせぬほどのさりげなさで

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おんなのことばに収録されている詩「知名」です。

茨木のり子さんが、50歳の時のこの詩を

私は、少しコミカルに読んでみました。

前年、ご主人が亡くなっています。

本来なら、

シリアスなトーンで読むのがよいだろうと思ったのですが、

いつも行の最初の音が印象的に強くて、こういう場合は

文の初め=頭を立てた方がよい感じでした。

すると、おのずとテンポは快活になり、

加えて、隣同志に並ぶ音が、すんなに後ろから前に出る訳でない

前や後ろをせわしなく行き来するので、

それをメリハリに使うと、

軽さが出て、結果、コミカルな読み方になっていった…という訳です。

姉御肌できっぱりとした性格の茨木のり子さん、

紡がれた言葉の音の数珠とこの詩ができた心境はいかばかりか…

きっとこの詩のできた日は、透けるような遠い青い空だった

快晴の日だったんじゃないかな、と思いました。

3月21日ポエトリーリサイタルがあります。

14:00-15:00 ぜひお越しください。

tamaproject015@yahoo.co.jp